Apr 3, 2010

- Book 1 - 『ダーウィンの夢』


こんばんは。Yujin.Hです。
つい二日前に読み始めた本を、やっと読み終えました。
電車の中でした読む時間なかったから、時間かかってしまった。。。

今回の本紹介は、

Amaozonより

内容紹介
ダーウィンの夢、それは「生物はなぜ多種多様に進化したのか」を明らかにすること――。36億年の生命史を近年の研究成果から辿り、ダーウィンが知り得なかった進化の謎を解く。

内容(「BOOK」データベースより)
主著『種の起源』出版から150年目の2009年、同書を新訳した気鋭のサイエンスライターが、ダーウィンの目を通して38億年の生命史を物語る。150年間で大きく進展した遺伝学・発生学・分子生物学などの成果から分かった新事実を織り交ぜ、地球と生命の誕生から、カンブリア紀の爆発的進化、ヒトの来歴までをたどる。ダーウィンが夢みた「我々はどこから来たのか?」への答えを探る旅。


本来は『種の起源』を読んでいたほうが理解は深まると思うのですが、
そんなに多くの人が読んでいるとは思えないので、
入門書が欲しい、というような方にはいいと思います。

ただ、私自身は先に同書を読んでしまっていたので、
なんとなく物足りない気持ちになりました。笑


私はこの本を読むとき、もっと言えば、
こういった「理系学問系の本」(正確には学術書というには程遠い)を読む時に心がけていることがありまして、
「常に一見関係なさそうな学問分野、現実世界に照らし合わせて考える」というものです。
だいたい1冊につき5つぐらいしっくりくるものが見つかるのですが、
今回もいくつかありました。


・生物に見る科学的真理の適用
ちょうどこの本と同時に読んでいた雑誌にも、同じようなことを感じました。
cf:『Newton 4月号』P5 [粘菌に学ぶ効率的な輸送網]
まだ売っていると思うので、その部分だけ立ち読みすると面白いと思います。

動物界・植物界におけるいわゆる「摂理」は、現実世界においても真理と成り得ることが多いと思います。
Newtonの例はまさにそう。
35億年前から着々と進化(チャールズ・ダーウィンの言う[Modification])してきた生物行動は、
視点を変えると現実世界に既に息づいている、もしくは適用できる。

例えば真正粘菌の習性。
これは最も効率的な鉄道網の構築に非常に影響力をもっています。

そんなことをいくつも感じることができる本でした。


・The Economy of Natureの中でNicheに向かうことでModificationが起きる
なんかルー語みたいになってますが笑、ダーウィンの言葉を借りるとこうなるのです。
ダーウィンの敵でもあり、また知己の仲でもあるリチャード・オーエンはこの説に真っ向勝負を挑んだわけですね。
有名な「自然淘汰説」は言い換えると上記のような言葉になります。

ここから学べることは、目的論的発想と手段論的発想の明らかな差異です。

恐竜という爬虫類は、空を飛ぶために鳥類へとModifyされたのか。
もしくは羽という器官が構築されたことで鳥類へとModifyされたのか。

これは就職活動中の学生にとっては、誰もが考える事ですよね。
仕事は目的なのか、手段なのか、とか。

でもそれよりも遥かにシンプルで、かつ遥かにクリエイティブな考え方が、
生物学(正確には進化発生学)には存在していたことに気づきました。


・現代人にとって大きく欠落したものはCreativityだという再認識
35億年前のシアノバクテリア席巻時代は置いておいて、
数世紀前のC.D.ウォルコット、C.ダーウィン、R.オーエンは、
非常に精巧かつ健美で、また非常に人間的な想像力を持った偉人だと思います。
現代のどんなビジネスマンの本を読んでも、
どんな学者の本を読んでも、
その先見性や斬新さに感銘を受けることはもちろんありますが、
これほどの絶大なる想像力を感じることができたのは初めてでした。

彼らの考えていること、発表することは、全てにおいて魅力的で、
また一方で非常に学術的。
そんな人間は現代に多くはいないと思います。

姜尚中にしろ小宮山宏にしろ原研哉にしろ。

もちろん過去にも多くはなかったと思いますが、
そのレベルの違いを感じました。